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ヨーロッパの絵画の歴史 No.1


それでは、額縁に続きヨーロッパの絵画の歴史をアップしてゆきます。
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  絵の大好きなラピスちゃんと、愛犬クラウは再び、ギャビンさんのギャラ 

 リーにやってきました。

「こんにちはギャビンさん。この前は額縁の話をしてくださってありがとう」

「どういたしまして、ところで今日はどうしたの?」とギャビンさん


「ギャビンさんのギャラリーには絵がたくさん飾られているけど、絵ってどう 

 して描かれるようになったの?」

「それはね、人は昔から他の人に何かメッセージを送りたくて、描くようにな 

 ったんだよ。ラピスちゃんは、自分の思いや考えを人に伝えるとき、どうす

 るかな?」

「思ったことをお話しする」

「そうだね、言葉を使って伝えるよね。でも、絵は言葉のかわりに色々な材料

 を使って表されているんだ。そして、絵を描く材料は、時代とともに変化し

 ているんだよ」






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「ラピスちゃんはどんな絵具を使ってる?」
「チューブに入っていて押すと中から絵具が出てくるんだよ」



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「そうだね、そしてこれが絵具の3つの原料なんだよ。まず、これが色になる 
 顔料、これが絵具と画面を繋ぎ合わせるバインダー、そしてこれが薄めるた
 めのソルバントなんだ。この3つを混ぜ合わせて絵具ができるんだよ」

「そうなんだ。絵具が何から出来てるかなんて考えたことなかった」




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「ラピスちゃんが今見ている絵には、昔の人が込めた思いやメッセージがたく 
 さん詰まっているんだ。絵を描いた人は、ずっと前に亡くなった人も多いけ
 れど、その人たちが伝えたかったことは、今も昨品として残っていて、
 メッセージを発信し続けているんだよ」
「メッセージ?どんなメッセージかな?」
「どんなメッセージだろうね。メッセージを解き明かすには、絵を描いた人の
 生きた時代背景や何を使って描いていたかを知ることが大切なんだよ」
「絵を見ることで、昔の人たちに触れることができるんだね。絵の中のメッセ 
 ージがわかったら楽しそう」
「使っていた絵具が時代とともに変化して今、私たちの眼の前に今でも作品と
 して残されているんだよ。じゃあ、これから一緒に、絵の歴史の旅にでてみ
 よう」
「うん」




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絵画とは何か?
 大事なことは、その描く対象の「主題」、そして「何を使って描いたか」である。古来より使われた材料には、3つの要素がある。それは顔料※1、バインダー※2、ソルバント※3である。絵画はこの3つを混ぜ合わせて描かれたものである。

 今から2万年前、フランスのラスコー洞窟の壁で発見された絵は、恐らく狩猟の対象であった牛や馬を描いたものであろう。材料としては。赤土・木炭を獣脂・血・樹液で溶かして混ぜ、黒・赤・黄・茶・褐色の顔料を使っていた。顔料は、くぼんだ石等に貯蔵して、こけ、動物の毛、木の枝を筆がわりに、または指を使いながら壁に塗って描いたと考えられる。よく対象を観察し的確に捉えているのには驚かされる。





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【ギリシャ絵画  紀元前5世紀】
 古典とは、すなわちギリシャ・ローマ美術のことで、そのローマ美術の源泉はギリシャ美術であろう。古代ギリシャ人は,肉体的にも精神的にも調和のとれた
完璧な存在になることを理想と考えた。ルネッサンスや数々の美術運動も、この「古典の原点に戻ろう」という考えの現れである。あのボッティチェリさえも憧れたという、アレキサンダー大王の宮廷画家だったアペレスは「彼の描いた絵馬に本物の馬が嘶いた」という言い伝えがある。しかし、アリストテレスは「絵というものは鳥が本物と間違えてくれなくてもいい。絵の最も大切なところはそういうところにはない」といい、絵における品性についても言及している。そこからも、当時の絵画への美意識の高さが伺える。哲学や美意識に至るまで、ありとあらゆる分野で、現代に与える影響は計り知れず、我々の意識の原点とも言える。そのギリシャ画家の存在も、文献によって確認はできるが、残念ながら、その絵画は現存しておらず、幻の絵画は、今ではアテネの壺絵式陶器の装飾等を見て、その描線レベルの高さから当時の画家たちの力量を推測するしかない。







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【ローマ絵画  1世紀頃】
 ギリシャ絵画の古典的な美に広大なローマ帝国の地域性が加えられてローマ絵画となった。79年にヴェスヴィオ山噴火によってポンペイ市街が一瞬にして呑み込まれた。しかし18世紀の発掘によって、その建物に描かれていたフレスコ画は鮮やかに蘇ることとなった。ポンペイ壁画は今日も見ることが出来る希少なローマ時代の絵画であり、その技の高さには驚かされる。フレスコ画※4は唯一、バインダーを含まない絵画である。濡れた壁の漆喰に、水に溶かした顔料を染み込ませるように描くので、その堅牢性※5は、絵画の中でも最大である。この後、中世のキリスト教の聖堂建築において建築と一体化したフレスコ画が数多く見られるようになる。





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【初期キリスト教絵画 3世紀頃】
 キリスト教の初期段階では、迫害を逃れるために絵画による意味の読み替えを行なって、信仰を継続していた。教義では、偶像を否定しているため、神を連想させる象徴を用いなければならなかった。太陽、ヒツジ、魚、錨、鳩などがキリストの象徴である。313年に迫害が終焉を迎えると、絵画はより具体的で充実した豪華なものへと変化してゆく。





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【モザイク画】
 モザイクは紀元前3千年頃、メソポタミアで発生したといわれている。その技術は建築・彫刻と一体となり絢爛豪華な芸術を生み出した。素材は大理石から、やがて硬質な輝きを発するズマルティガラス※6が用いられるようになり、ガラス材の乱反射を利用してより高度なものへと変化していった。
 モザイク画の技法の中には、テッセラ※7を一個ずつ、接着剤などで直接、壁面に貼り付けてゆくものがあり、これを直接技法と呼ぶ。細やかな工程であるため、大規模で長期間にわたる作業には向いていない。また、大画面になればなるほど、表面の凹凸をコントロールすることが難しい。テッセラに用いられる色調の石の調達にかなりコストがかかることや、作業自体の困難さから、やがてその姿を消していった。




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【ステンドグラス ゴシック期  12世紀】
 ガラスの起源は紀元前数千年、メソポタミアかエジプトであると言われている。始まりは焚き火の熱で偶然砂と岩塩が反応して透明な液体となって溶け出し、冷えて固まってガラスが誕生したのではないかと言われている。紀元4世紀頃のローマ帝国の時代には「吹きガラス技法」※8が発明され、ローマングラス※9が生まれた。それがやがて5世紀頃のキリスト教からステンドグラスとして用いられた。
 12世紀中ごろから13世紀中ごろにかけて、パリを中心とした宮廷文化の開花と、都市の隆盛を背景に、フランスに新しい美術が登場した。これをゲルマン民族のゴート族にちなんで「ゴシック」という。ゴシック時代初期、ステンドグラス装飾が施される理由の一つに、文字が読めない人々に、キリスト教を教えるという宗教的な目的があった。また、ロマネスク時代に比べ、新たな教会はそびえ立つような高い天井が特徴的で、建築技術の向上によって、壁を薄くすることが出来るようになり、ステンドグラスが隆盛を極めた。しかし、絵画の影響から次第に写実的に傾いていったことから、本来の「透明感」の魅力を失ってゆきやがて衰退していった。
 ステンドグラスは、エ字形の断面を持つ鉛のリムを用いて、着色したガラスの小片を結合し、絵や模様を表現したものである。ガラスに金属酸化物を混入することで着色している。外部からの透過光で見るために非常に明るく美しく映る。


No.2へ続く

















by johanesvermeer02 | 2018-12-02 20:50 | 絵画
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