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明暗法 (キアロスクーロ)その2  glazing and hattching (グレージングとハッチング)




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鉛筆からこれは木炭とコンテ鉛筆を使った明度表です。
木炭の部分の処理は木炭を薄く塗り、その上から擦筆で均一に撫でてゆきます。
これは油彩のglazingに近い表現です。
 glazingとは半透明なフィルムを重ねるように彩度や明度を落とさずに透明な塗料の色面を塗り重ねることで、絵具そのものの混色では得られない美しい混色効果が得られる技法です。
 混合技法などでは通常はhattchingが先で、glazingをその上から重ねますが、
ここでは逆にglazingを先にhattchingをその上から重ねるdessinに取り組んで行きます。
hattchingとglazingの効果を体験しながら進めてゆきます。
用紙は木炭紙です。背景が白いのでデッサンは暗いところを重ねて描き進めます。
ここでもリアルさを求めてゆくのではなく、画材と物質のその構成の確認が目的です。

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微妙なトーンを明度表に沿って円柱を描きます。
これからの作品の目的はリアルに描写するのではなく明暗の微妙なトーンを
段階的に捉えてゆく練習です。
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同様に瓶を描きます。
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更にモデル人形です。
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学生が白い石膏像を描くのはこの明暗法を身につけるためと言われています。
かつてイタリアやフランスのアカデミーではこの明暗法は線遠近法と共に
大事な学習項目でした。しかし印象派の登場で色彩に重きが置かれ始めて
この明暗法の重要性は軽んじられてきたのかもしれません。

明暗法と色彩学は共に大事ですがそのバランスが難しいのは言うまでもありません。
実はこの明暗法はdessinのみにとどまらず、水彩画やテンペラ画、油画などの作品描写に古典技法ではどこまでも深く関わってきます。


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今度はグレーのファブリアーノ紙にパステル鉛筆(白)にコンテ鉛筆(白)、そしてソフトパステル(白)に先ほどの木炭、コンテ鉛筆で明度表を作ります。
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これもグレーの紙に先ほどの表を適用します。
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ランプです。


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ハンカチ1
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ハンカチ2




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石膏デッサン1灰色の紙の地に明るさと暗さを推し進めます。
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石膏デッサン2です。
以上はグレーの用紙にモチーフを白と黒で8段階を表した練習作品です。



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白ペンと黒インクで描き進めようとしましたが、黒インクが出なくなりここで中断。



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この迫真の作品は
レオナルド・ダ・ヴィンチの
「座った人のための衣の習作」です。
灰色のキャンバスに筆と灰色のテンペラ画で描いたと言われています。
灰色の下地に白と黒のトーンの段階を無数にして表しています。



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これも同じくダ・ヴィンチの
「マギの礼拝」
木板に油画の下絵の段階の未完成の作品です。
作品の進め方がよく分かる作品です。
この段階ですでに迫真性というものを備えています。
明暗法は真っ先に眼に留まるというのがわかる気がします。














by johanesvermeer02 | 2018-02-25 16:44 | 教室
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