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装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー

 装飾写本とは
印刷技術のまだなかった時代、聖書や学芸の書などを写字生が1字1字書き写し,そして華麗な装飾模様や絵を組み込んだまさに芸術的な絢爛豪華な本のことです。
修道院や宮廷で修道士や司祭、学者や廷臣などが実用として教えを授けあるいは学ぶ場、それから布教で国外へ旅するときに必ず携えてゆく
のに使われていました。字が読めない人にも理解しやすいように絵も描かれていたと思われます。
下の生徒さんの取り組んでおるのは
「マギの礼拝」 の装飾写本に金箔の装飾を施しているところです。
当時は欧米ではまだ紙がなかったので、一般には羊皮紙が用いられていました。
今回は装飾写本の中でも最高級といわれるVellum「ヴェラム」(胎児の子牛の革)を支持体にしています。
金箔部分には一度塗った石膏に「息を吹きかけて」石膏を再び湿らせ蘇らせて金箔を貼ってゆきマラカイトの棒で磨いているところです。この金箔技法は装飾写本のみで使われている特殊な技法で他には類をみません。金箔の後は彩色をテンペラで施してゆきます。
キリスト教の「マギの礼拝」とは「イエスの誕生を祝い」に東方から3人の博士がお祝いに来たところです。
これからどのように展開されてゆくのでしょうか?

装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー_b0205287_11275983.jpg


それからしばらくしてようやく彩色に入ります。装飾写本の特質である金に青、赤と極彩色で煌びやかな画面が少しづつ広がってゆきます。
装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー_b0205287_11442429.jpg



顔料の水練り
金箔作業がようやく終わった段階でいよいよ着彩ですが、
絵の具の元を学んでいただくために顔料の水練り作業を行います。

装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー_b0205287_14304997.jpg

まず、顔料を練り板の上に出します。


装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー_b0205287_14313984.jpg

カルデラ湖を作りそこに水を流し込みます。(今回はテンペラなので顔料は水練りです。)


装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー_b0205287_14315673.jpg

練り棒で顔料の粒子が細かくそして水と均一になるように練り上げます。


装飾写本 「 マギの礼拝」  ー土曜日コースー_b0205287_14321287.jpg

練れたら瓶に入れて保管です。絵の具はこのようにして作ってゆきます。

by johanesvermeer02 | 2015-05-31 11:50 | 絵画
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